バッグカルチャーシステムはオーシャン貿易株式会社が開発した、ブルーベリーにとって最適な環境を維持することのできる画期的な溶液栽培システムです。優良品種・専用肥料・専用の混入機・専用培地を組み合わせ、通常収穫までに4~5年かかるところを2年で収穫出来るシステムです。バッグカルチャーシステムのブルーベリー農園はすでに全国に300ヶ所以上あります。協議会では昨年9月『21世紀型ブルーベリー栽培法』の勉強会を行い、オーシャン貿易株式会社と提携して営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を進めています。

ブルーベリー栽培と太陽光発電は植物相性が良いと記しましたが、その理由は東京農工大学荻原勲教授(現副学長)グループの研究論文の中で裏付けられています。研究ではハイブッシュブルーベリーとラビットアイブルーベリーについて実験し、温度と光強度の変化で光合成特性がどのように変化するかについて実験しています。植物にはそれぞれ固有の光飽和点があります。ブルーベリーの場合、光の強度が光飽和点に近づくにつれ個葉の光合成速度は緩やかになり、光飽和点を超えると光合成速度の増加はわずかになります。光の強度が光飽和点の2倍になると個葉の蒸散速度は両品種共2.5倍になります。詳細の実験データは省略しますが、研究グループは次のような結論を出しています。

「光合成速度を著しく低下させない資材であれば、遮光は植物へのストレスを回避し、効率的に同化産物生産を行わせるうえで有効であり、その効果は高温下のハイブッシュ種で高いと考えられる。また、遮光した時の光強度の目安は光飽和点とその光強度の近辺の蒸散量を考慮して決定するのが望ましいと考えられる。」

また、東京農工大学 園芸学研究室 村松幸成氏は『様々な遮光条件下に置かれた時のブルーベリーの生育と光合成特性』という海外文献発表の中で、「高温状態はブルーベリーの生育や光合成によくない。そして、過度の光は酸化ストレスにより光合成系にダメージを与える」として適度な遮光を行うことは、植物の生育にとって重要であるとしています。そのうえで遮光を行っても60%を超えなければブルーベリーの成育を大きく低下させずに栽培することが可能であると紹介しています。