協議会が設立されてから今年の5月で4年になります。当初は全くの手探りでスタートしましたが愛知県、静岡県を中心に営農型太陽光発電の普及に少なからず役に立ってきたのではないかと思っています。

今まで、県や市町村の農政課・農業委員会を訪問し、営農型太陽光発電について理解を得るための説明をしてきました。しかし、最初の頃はいろいろな理由をつけて設置について否定的な反応をする自治体がほとんどでした。例を挙げると『太陽光発電を設置して収入が多くなれば農業をしなくなる』、あるいは『進めてもいいがこの場所だけはやめてくれ』と言った根拠のない理由もありました。最も酷いのは、ある県の出先機関の一職員に『県としては営農型太陽光発電は勧めていません。太陽光発電をやるなら永久転用をして設置してください』と言われたことです。永久転用するということは農地を雑種地に変えるということであり、農地を守るべき農政課の職員が発すべき言葉ではありません。この時は流石に怒りを抑えることが出来ず、すぐに本庁の上司に電話し解決しました。国や農水省が営農型太陽光発電の設置を推進していこうという方針であるのに対し、県や市町村は関心が薄すぎるというのが正直な実感です。

具体的に進めるに際しても、様々な課題、問題点があります。営農型太陽光発電の建設に際しては、太陽光パネルを間引いて配置しなければならない、また架台も高く設置しなければならないという事情があります。結果的に一般的な太陽光発電よりも工事費が高くつきます。これに加えて農業委員会への一時転用手続きには膨大な提出書類が必要であり、行政書士に依頼するしかありません。その費用は50万円から70万円ほどになります。このことも営農型太陽光発電が広く普及しない要因の一つではないかと考えます。

協議会の会員が紹介して建設したある現場では天候不順で収穫が減少した年度があり、農業委員会からの指摘で翌年売電が止められてしまうということがありました。農業委員会にこのような権限があるのでしょうか?そもそも営農型太陽光発電を設置した場合下部農地での収穫量が近隣農地の8割以上でなければならないという基準が本当に必要なのでしょうか?すぐ隣の農地は何年間も放置され、何も作っていないのに何の罰則もありません。今まで耕作放棄地であった農地、荒廃農地をきれいにし、農業ができるようにすると、今までと違って決まり事で縛られるというのは不条理ではないでしょうか。

他にも、農業適格法人の条件は農業収入が50%以上でなければなりません。農業適格法人が営農型太陽光発電を設置して売電収入が農業収入を上回ったら農業適格法人の資格はどうなるのか、農水省に問い合わせ中ですが、現在明確ではありません。

営農型太陽光発電を拡大していくためには農水省の役割が非常に大きいと思います。農水省には極力手続きの簡素化を進めていただきたいですし、地方自治体への啓蒙を強化していただきたいと思います。

協議会に対しては次々と建設に関する相談が寄せられ、営農型太陽光発電に対する関心の高さを感じます。これからも、皆様からの疑問や質問を正面から受け止め、解決に向けて前向きに取り組んでまいります。